doa「3」

doaの3rdアルバム、その名もずばり「3」もだいぶ聴きこんできたので、今の雑感も込めてレビューしたいと思います。

「心のリズム飛び散るバタフライ」
いやあ、徳永暁人さんならではのタイトルですね(笑)このタイトルからしてインパクトのある作品なのかと思いきや、意外とシックなスローテンポのナンバーになっています。主人公の苦悩や葛藤、それらを一蹴させるだけの強い力を昇華した「バタフライ」という存在をどことなく抽象的に描くことで、絵画的な要素を持つ作品に仕上がりました。最後もサビの途中で切れるところが、この先を自由に想像出来るようでいいですね。

「地球の中で二人っきり」
「はるかぜ」の秋版といってもいいようなバラード。身近な人とのつながりを「地球」という大きなくくりにまでもって行くのは徳永さんらしい歌詞ですね。徳永さん独特の甘い歌声もどこか憂いのあるこの曲とマッチしています。特にファルセットがキモイ甘いですね。アルバムの中でもかなりアコースティックギターが多く使われていて、オーガニックなイメージが強いです。

「RUNAWAY」
「open_d」辺りの流れを汲むような荒涼としたミディアムテンポ曲。何となく徳永さんのクリエイターとしての苦悩を感じるような歌詞の世界と、メロディーの音数の少なさは彼らしいですね。サビの3人でのファルセットのハーモニーが美しいです。とても「doa」らしいという印象を抱きました。個人的にアルバムで一番好きな曲です。

「Keep Rollin'」
マイナーな1stアルバムから作品の世界が拡散した2ndアルバム、その2つがあって今生まれたと言う感じがする温かくアコースティックな1曲。どことなくEaglesの「Take it easy」を彷彿と指せるような作品の世界観がオーガニックなこのアルバムの1つのキーワードにもなるような作品です。

「ゼロの気持ち」
シングルにもなったアップテンポナンバー。このアルバムの中でも一番ロック感が出た曲ですが、過去のアップテンポナンバーと決定的に違うのは、パート毎にメンバーが歌い分けているところ。それぞれの声質・声域に合わせた曲の出来は、歌うのが難しいからこそ、ライブで聴くとその圧倒的な凄さに盛り上がります。

「嘘」
徳永さんの弱さが出た曲パート2。ダークなスローテンポの曲で、どことなく「自転車少年」を思い出すような気だるい作品に仕上がっています。ピアノとアコースティックギターが奏でる和音は、ぐちゃぐちゃになってしまった頭の中をイメージしているそうで、ぐるぐると堂々巡りをして苦悩している姿を鮮やかに描き出しています。

「はるかぜ」
シングルでタイアップもついたバラードソング。春の出会いと別れの中に、好きだった人への切ない気持ちを乗せて歌った歌詞は、ストレートだからこそ心に響きます。アレンジやメロディーの世界観はストリングスを入れたりと、とても壮大なのですが、歌詞はあくまでも好きだった女性とのエピソードを交えた個人的なものとなっているのも共感しやすくていいです。

「SALMON JUMP」
大田さんがメインボーカルを務めているアップテンポ曲。声域自体はdoaの中ではそれほど高くないものの、全体の世界観が「ロック」なので、大田さんの声質と一番合っていてかっこよい作品になっています。アコースティックギターとエレキギターのアレンジの配分のよさはさすがdoaですね。ギターを裏返して使ったと言う独特のリズム音もポイントです。

「アツイウチニウテ」
こちらも大田さんメインボーカルのロック曲。プレゼンテーションをテーマに描いた作品としては、学生でもたまにやる身には「わかるわかる」と共感せずにはいられません。プレゼン前の頭の煮詰まり感、それを否定されたショック、ダメだしにへこんだり、いつの間にか会社の中に染まりきっているダメな自分、と色々困ったものですけれども、だからこそ「アツイウチニ」打って、自分自身を磨いていきたいですね。

「Route 26」
温かいカントリーなミディアムテンポ作品。タイトルの「Route 26」は、実際に大阪の辺りを通っている道なのだそうですけれど、あいにく関西の人間ではないので、その辺のローカルネタは分かりません(笑)しかし、久しぶりに地元の友達と再会して過ごす至福のひとときを、関西弁入りの歌詞で丁寧に描かれていて微笑ましいです。

「cactus」
インタールード曲。3人のスキャットのみで構成されていますが、どことなく荒涼な中にも力強く生きている「サボテン」(cactusの訳)をイメージさせる落ち着いたメロディーになっています。アルバムの中の箸休めですね。

「One Love」
シングルのC/W曲だったのが、好評ということでアルバムに収録されたバラード曲です。特別に凄いことを歌っているわけでもないのですけれど、そのアコースティックな作風と普遍的なことを歌った歌詞、3人のシンプルで美しいハーモニーと、doaの美味しいところを全部詰まったところが人気の秘密なのかもしれません。

「自由形~フリースタイル~」
徳永さんの苦悩を描いた作品第3弾。アルバムの終わりの曲は全部アップテンポというのはもう決定的なようなので今更突っ込みませんけど、それにしてもこの曲も徳永さんの本音が垣間見える歌詞になっています。特にサビの辺りの歌詞は、クリエイターとして向こうからの要求に応えることへの愚痴にとしか聞こえない私です(笑)

でも、不満・不平を持ちながらも、このままでやっていこうという前向きな姿勢があるのがこの曲のよさなのです。自由な形で、人にはとらわれずにしようという心持ちが、アルバム最後をすがすがしく締めくくっています。

全体としては、「疲れてても再生ボタンを押せるようなアルバム」とインタビューで語られていたように、アコースティックの音を一番大切にして作られたオーガニックなアルバムに仕上がっています。2ndアルバムよりも「陽」の部分が大きく出てきているものの、煌々と照らすのではなく、燦燦と降りつもるような温かな味わいのある方向に出来上がっているので、1stアルバムほどのまとまり感、2ndアルバムほどのメロディーの美しさといったものはありません。

それゆえ、最初この作品を聴いた時は「何となく薄い」というイメージをアルバムに抱いていたのですが、意外や意外、聴けば聴くほどほっこりと温かさが心に染み渡るような心の奥深くまで入っていくいいアルバムになっています。誰か心が疲れているという方に送ってあげたい、そんなアルバムですね。

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