FictionJunction YUUKA「circus」レビュー
「circus」
1曲目にしてアルバムタイトル曲であるアップテンポ曲。「サーカス」という、どこか非現実的な仮装ショーの始まりを歌う様は、アルバムの最初の幕開けとしても相応しく出来上がっています。
「Aikoi」
打ち込みサウンドが光るアップテンポ曲。独特のコーラスにバイオリンが絡み合うイントロから梶浦さんらしいアレンジのつくりでかっこいいですね。確かFFの挿入歌か何かで使われていたそうですが、仮想世界と現実が混同しているような世界の中でも、恋愛至上主義を貫こうとする歌詞は、タイアップとも合っていそうです。半音階でどことなく心地の悪いようなサビ部分が癖になります。
「Silly-Go-Round」
シングル曲でもあったアップテンポ曲。どことなく80年代辺りの懐かしい匂いがする哀愁メロディーに、アグレッシブなピアノが絡むバンドサウンド、そして憂いを帯びながらも力強いYUUKAさんの歌声など、全てが渾然一体となることで、とてつもない疾走感と爽快感溢れる、アルバム中文句なしに一番の素晴らしい作品になっています。ゲームとも絡めた若者の恋愛への正と負の両面を出した歌詞もYUUKAさんの声質で歌われることで、See-Sawにはない、FictionJunction YUUKAならではの世界観が出ています。
「blessing」
曲単体としてはシングル「荒野流転」のC/Wとしてレビューしていたので、アルバムの中での役割を少し。ここまでの3曲が全てアップテンポ曲で、それぞれの世界観がとても強く現れている中、その次にこの曲を持ってきて、それぞれの曲のアクを抜くことが出来ています。曲単体としての出来ももちろんよくて、「凄い!」の一言。
「荒野流転 ~Full Size Mix」
シングル曲の時にはなかったイントロを新たにつけることで、より幽玄的な世界観を濃くしたアップテンポ曲。単体の方はシングルレビュー参照でお願いします。
「よろこび」
アルバムオリジナル曲としては最も気に入っている1曲です。独特の曲展開と、打ち込みの多いアレンジ、どこか夢想的で定まりのない歌詞世界、それらが合わさってできた世界はどこか前衛的でプログレッシブロック的な楽曲に仕上がってます。
「光る砂漠」
スローテンポ曲。このアルバムは1曲1曲、それぞれの世界観が強く出た作り込んでいる作品が多い中では、比較的自己主張が少なめのあっさりとした曲に仕上がっています。アルバムの中盤での箸休めになっておりますが、単体で聴いてもしみじみとした味わいが出ていてきれいな曲ですね。
「romanesque ~Full Size Mix」
アルバム発表前に発売されたシングルタイトル曲。アコースティックギターとアコーディオンの入ったアレンジはどことなくフラメンコ的です。儚く散りゆくまでの一瞬の美学を描いた歌詞と、憂いを帯びたYUUKAさんの歌声が見事に混じりあい、1つの世界を作り上げています。
「ピアノ」
「ピアノ」とタイトルにあるように、ピアノとチェロの伴奏一本で海辺の美しい景色と共に愛を失った悲しみを歌い上げたバラード曲。彼女のボーカリストとしての成長を感じられるアコースティックな曲です。
「六月は君の永遠」
こちらはピアノ一本で奏でられたスローテンポ曲。歌うというより、つぶやくように言葉を乗せて歌う彼女の歌声は、それはそれでまた魅力がある、よい声質をなさっています。
「焔の扉」
ガンダム挿入歌のタイアップだったシングル曲。J-POPシーンから見ればなかなかよい曲なのですが、FictionJunction YUUKAとしての曲にしてはやや詰めの甘い作品です。正直、思いきってこの曲はアルバムに収録しなかった方がもっとよい作品に仕上がったのではないでしょうか。
「angel gate」
シングル「Silly-Go-Round」のC/W曲。ミュージカルのED曲として作られたそうですが、このアルバムのラストを飾るに相応しい大作バラードに仕上がっています。重厚なコーラスとピアノのバンドサウンドとしっかりとしたアレンジながら、飾りすぎることなくあくまでもメロディー、歌声を聴かせることに徹したところも見事です。
全体としては、さすがプロデューサー梶浦由記さんの作品!!と、太鼓判を押せる良質なアルバムに仕上がっています。最初の3曲のアップテンポ曲の畳み掛け、緩急のあるアルバム中盤とも素晴らしく、彼女のクリエイターとしての実力の高さを示す見事な作品です。
惜しむらくは、後半に落ち着いた曲が多く入ったのが、個人的にはあまりよくないと感じたこと、(特に前半がよかっただけに、もう少し梶浦さんらしい大陸的な壮大なアップテンポ曲が欲しかったです)「焔の扉」収録が全体のアルバムの出来を下げてしまったことです。これがなければ完璧に素晴らしいアルバムなのですけれども・・。
とはいえ、梶浦さんのJ-POPらしいよい1枚になっていますし、あちこちでシングル曲などの動画も出回っているので、どこかで耳にして、気に入ったらぜひともアルバムを購入して欲しいものです。


comments
・・男の子がそんなことを聴いちゃダメだよっ!